建物のLCC(ライフサイクルコスト)の4分の3は、維持管理にかかると言われています。発注者としては、建設工事費につい目が行きがちではありますが、実は、建物の生涯コストのうち、これらはわずかに4分の1を占めるにすぎません。
とりわけ建物の竣工以降に収益を生むことを目的として課されているビルについては、その管理手法が研究され、また発達してきました。
今回から数回にわたって、この建物管理について、紹介したいと思います。
AM(アセットマネジメント)
アセットマネジメント業務は、ビルのオーナーの代行者として、不動産ポートフォリオの収益拡大に努め、必要な方策を実行する役割を有し、受託物件の収益責任を負っています。具体的な業務内容は以下の通りです。
業務提案・報告業務
- 不動産ポートフォリオ全体の損益・資金計画の提案・実施・報告
(資金調達・返済/調達条件交渉/短期・中期事業計画の策定/決算業務)
投資関連業務
- 不動産ポートフォリオの収益向上、収益拡大のための所有物件入れ替え(購入・売却)方針の提案・実施・報告
- 電気・ガス等の契約
- 工事費の支払い
- 所有物件の中長期資産保全工事の計画立案・実施・報告
- 所有物件の短期資産保全工事の計画立案・実施・報告
収益関連業務
- 新規テナント営業方針の提案・実施・報告
(賃料等諸条件の提案/契約状況の報告) - 既存テナント営業方針の提案・実施・報告
(賃料増減改定方針の提案/契約状況の報告) - ビル管理費のコストダウン等、方針の提案・実施・報告
その他
- 対外折衝業務
(警察、消防、国交省等諸官庁等/諸官庁への各種届出・報告) - 火災保険等の手続
- 共同ビルでの所有者代行業務
(管理組合への出席、議決権の行使等/管理組合との入出金業務)
次回予告
次回はPM(プロパティマネジメント)について取り上げます。