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2019年10月01日

建築コストに影響を与える要因について②

品質の要因品質

建物の品質水準、あるいは仕様程度の違いによる要因は、規模・形状等の数量を主とするコスト変動要因とは異なり、むしろ質的な仕様水準レベルを主とする単価グレードに直接影響を及ぼす項目です。内外装仕上、設備システム等がその中心です。これら仕上材や機器類の選択の際は、イニシャルコストのみならず、基本的な要求性能(断熱性、遮音性など)、デザイン・美観性、さらには保全・メンテナンス性、耐久性などの長期的な品質確保も含めて、総合的な視点で決めるということが求められます。

構造の要因

構造コストの比率

土工事、杭事業、躯体工事など、構造関連コストが全体工事費に占める比率は非常に大きく、一般的な事務所ビルでは3割程度となります。

建物形状、規模、地下階の有無、構造方式、階高、スパン長さなどの意匠設計計画の内容により、構造コストが占める割合は大きく変動します。これらは、設計の上流段階での意匠計画と密接に関係しており、基本計画段階が、構造コストを統制していく上で、大変重要なフェーズといえます。

構造方式

主な方式としては、RC造、S造、SRC造、木造などがあり、設計に際しては、用途、階数、柱スパン、軒高、工期などの要因を考慮して、最適な方式が決定されます。集合住宅ではRC造が一般的で、事務所等ではS造が多くみられます。

構造方式が変わることで、構造部分のみならず、仕上部分についてもコストが変わりますので、注意を要します。

⑶ 経済スパン

大空間を創出するため、柱割を大スパンで設計する建物が増えています。しかしながら、スパンを長くとることで、梁成を増やす必要や、構造方式の見直しの必要なども生じてくることから、注意が必要です。必要以上の長スパンは、コスト上昇を招きます。

地下計画

地下部分の建設コストは、土工事、山留などの工事があり、地上に比べ割高となる傾向があります。可能な限り、地下部分の容積の最小化を図ることが経済性の観点からは望ましいと言えます。

また、地下計画は地盤状況に大きな影響を受けます。特に地下水位の状況把握が重要です。

設備の要因

設備コストの比率

総建設コストに占める、設備工事の割合は、例えば事務所ビルでは、おおむね3~3.5割程度と言われます。その内訳は、電気設備、空調設備がそれぞれ10-13%、給排水衛生設備、昇降機設備がそれぞれ4-5%を占めています。

⑵ 設備コストの変動要因

設備コストの変動要因としては、立地、用途、建築形態、設備仕様グレードなどが挙げられますが、とりわけ影響の大きいものは用途とグレードの設定です。前述の通り、事務所ビルの場合は、総コストの3割程度を設備関連が占めますが、医療施設、研究所などになると5割を超えることも珍しくありません。

⑶ 設備コストの特徴

  • 電気設備
  • 受変電設備の計画容量の違いが大きな影響を及ぼします。この容量は、空調、衛生などの方式と密接に関係しており、総合的な視点から検討する必要があります。また、機器の購入金額が非常に大きい点も特徴です。電気設備コストの6割程度は専門メーカーによる機器・専門工事費が占め、さらにこれは、機器購入価格に影響されます。
  • 空調設備
  • 熱源設備、空調機器、空調ダクト等のコストが計画により大きく変動します。特に、イニシャルコストのみならず、ランニングコストを含めた、ライフサイクルコスト全体に配慮した上で、最適な方式を選択する必要があります。
  • 給排水設備
  • 給排水設備配管およびスプリンクラー等の防災関連コストが、コストの主要なものとなります。パイプシャフトの位置や大きさによって、平面の配管長さに影響を及ぼすので注意が必要です。各階共通の位置にパイプシャフトを設けることが望ましいと言えます。

発注方式・契約方式の要因

発注方式

主な発注方式としては、建築・設備を一括発注する方法と、各々を分ける分離発注とがあります。この二つの方式に加えて、専門工事会社を指定して、この工事費に一定額を加算して統括会社に発注するコストオンとよばれる方式もあります。

一括発注方式は、民間工事では一般的であり、全工事を一括して総額で発注ができるため、発注者にとって手間やリスクを軽減できる点がメリットです。

分離発注方式は、発注者にとって専門工事会社との直接契約となるため、コストが明確になり、また、管理の度合いを高めることが可能であるという点がメリットです。発注者が専門性を備えている場合に用いられる方式であると言えます。

施工者選定

入札、見積合わせ、随意契約、特命発注、総合評価などがあります。民間工事では、見積合わせ、特命発注が中心となります。前者は、見積もりを複数の施工者に提出させ、内容を審査し、選択した会社と話合いを通じ、契約に至る形です。後者は、受注者・発注者双方の信頼をベースに、一社のみに特定の上、発注する方式です。この方式は事業の早期段階から受注者との交渉ができるため、早期着工ができる点がメリットです。

⑶ 工事契約方式

総価請負契約、実費精算契約、単価請負契約などがあります。中でも総価請負契約が一般的で、圧倒的に多くみられます。この方式のメリットは、事前に全体工事費の総額を確定できる点にあります。ただ、設計図書の完成度が低い場合に契約を締結する場合は、不確定要素が施工者の見積に乗せられる場合もあり、発注者のリスクが高まる傾向がありますので、注意が必要です。また、改修や修繕工事のように、発注時点で工事内容などが確定していない場合や急を要す場合には、実費精算契約および単価請負契約が採用されることもあります。

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