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2019年08月29日

発注者が担うべき、建築生産プロセスにおける「企画」とは?②

前回は、建築生産プロセスの全体像と、その中でも発注者の担うべき「企画」についてのおおまかな説明をしました。今回は、より具体的に、企画業務の中身について説明したいと思います。

⑴ 事業費の予算策定

企画段階では、事業計画を遂行するにはいくら位の予算を必要とするかを決めます。この段階では、建物用途・仕様および規模くらいしか、計画建物についての情報がありませんので、これらを手掛かりに、かかる投資額を想定します。通常は、類似物件の実績から、単位当たり(延べ面積あたり/1住戸あたり/1病床あたりなど)の単価を設定し、計画建物の規模を掛け合わせるという概算方法をとることが一般的です。

各種工事費(建築工事、付帯工事、外構工事など)のみならず、設計やコンサルティング業務への支払いも計上しておくことが必要です。

⑵ 採算性の検討

経営的視点から、実現性および投資対効果が高まるプランを検討していきます。具体的には、フィジビリティスタディ(事業の実現可能性調査)における経済性調査、実現可能な事業コストの算定などが挙げられます。実現性を高めるためには、プロジェクトの初期段階(例えばこの「企画」段階、次の「設計」段階における基本計画など)で、しっかりと事業性を検討しておくことが極めて重要です。この考え方を、フロントローディングと呼びます。一般に、全体コストの8割は、プロジェクトの2割が進捗するまでに決まってしまうと言われており(パレートの法則)、企画・設計の初期に、負荷をかけることがプロジェクト成功の秘訣となります。

⑶ コスト配分計画立案

設計方針や類似物件等から取り出した実績コストデータをもとに、コスト配分計画を立案します。直接工事費・共通費とのバランス、直接工事費の中の各工種間もしくは各部位間のバランスを鑑み、適切な配分を検討します。当然、企画段階では想定できない出費が将来的に発生する可能性もあります。そこで、相応の予備費を設定することが求められます。

⑷ 発注戦略の検討

設計・施工を分離して発注するか、あるいは設計・施工一貫で発注するかなどといった、発注の仕方を検討します。事業内容、建物用途、許容できる工期、予算などにより、とるべき発注方式は変わってきます。その他にも、様々な発注方式・契約方式があり、専門家の知見も活かしながら、方向性を検討していく必要があります。

以上、企画段階における具体的業務について概観してきました。次回は、設計段階について考えてみたいと思います。

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