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2019年10月04日

施工者の選定方式について

発注者が建築工事を発注するに際して、相手となる施工者を決めるための方式にはどのようなものがあるかを理解しておくことは、コスト低減・品質・工期短縮などを確保する観点から大変重要です。

以下に代表的な発注方式について、説明します。

施工者の選定方式は、競争入札と随意契約に大別される

発注方式は、「競争入札」と「随意契約」の二つに大別されます。

「競争入札」

政府および地方自治体をはじめとした公共機関が主に実施する方式で、複数業者に価格競争を行わせるものです。広く一般の受注希望者から入札書の提出を求める一般競争入札、入札参加者を発注者側で適切と考えられる範囲に限定する指名競争入札などがあります。かつての談合などの影響から、現在では一般競争入札が中心となっています。

「随意契約」

個別に施工者から見積を徴収する形式で、こちらは主に民間工事で用いられています。随意契約は、「特命随意契約」と「見積合わせ」に大別されます。

「特命随意契約」は、特定のひとつの施工者に絞り、見積を徴集し、予定の工事価格内であれば注文するという方式です。発注者と受注者の信頼関係が強い場合、継続的な工事があるなどして同じ施工者に注文する方が合理的であると考えられる場合、相互に取引関係がある場合(受注者が発注者の顧客となる取引が存在する場合など)などに採用されます。工事発注にあたっての手間が軽減できる、着工が早められるなどのメリットを有しますが、競争原理が働かず見積が高くなりがちである点などがデメリットとなります。

「見積合わせ」では、競争原理を働かせるために、候補となる複数の施工者から見積の提出を求めます。金額や見積内容などを比較し、施工者を選定します。指名競争入札と似ているように思われますが、必ずしも最低金額の業者を選ぶ必要がない点や、見積条件が一致しない場合がある点などが異なります。定められた手順やルールに従う必要がなく、発注者の利便性にあわせて、自由に価格交渉を行っていける点がメリットです。見積提出後、品質やその他で期待できるが価格面では見劣りする業者に対して、他社の安い見積価格を知らせることで、値引交渉が行われることなどが散見されます。

発注範囲と契約方式について

次に、一般に発注する範囲および契約方式との主な組み合わせについて説明します。主には以下の4パターンとなります。

  1. 設計・施工分離による建設会社への一括発注方式
  2. 設計は設計事務所に発注した上で、工事についてはゼネコン1社に一括発注するという方式です。一般にこの方法が用いられています。

  3. 設計・施工分離による専門工事会社への分離発注方式
  4. 設計は設計事務所に発注した上で、工事についてはいくつかに分割し、複数の業者に発注するという方式です。設備工事やカーテンウォール、鉄骨製作などで行われることがあります。一括発注と比べ、管理や複数工事間の調整に手間がかかる点がデメリットですが、それぞれの工事のコストが明確になる点などがメリットです。発注者の工事に関する専門性が求められる方式と言えます。この方式は、取引関係などから、ゼネコンを介さずに発注者が直接特定の専門工事会社に依頼したい、などのニーズがあった際に用いられることもあります。

  5. コストオン方式
  6. 発注者が、専門工事会社を個別に選定した上で、その工事費に現場管理の経費を上乗せした金額を建設会社に支払うという形式です。分離発注と一括発注を合わせたような方式と言えます。契約は、一括発注と同様にゼネコンと発注者に選定された専門工事会社が締結しますが、専門工事会社の工事費については、発注者と専門工事会社との間で決められます。

  7. 設計・施工一貫方式による建設会社への一括発注方式
  8. 設計と施工の双方を建設会社に一括で発注する方式です。設計・施工の責任が一元化されること、事業期間の短縮、プロジェクトの早い段階で建設コストが確定すること、発注者側の手間軽減などといったメリットを有します。設計業務全般をゼネコンが担うこともあれば、基本設計については別の設計者が担当し、その基本設計図書を元にゼネコンが競争し、受注者は実施設計および工事を担当するという場合もあります。基本設計を含む設計業務全般をゼネコンに任せる場合は、発注者が建物に求める性能等を定義する必要があり、ここが不明確であると、競争原理が働かないということになりかねません。

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