前回は、建築プロジェクトには大別して二つのパターンがあるというお話をしました。すなわち、「事業が先、土地が後」と「土地が先、事業が後」です。
いずれの場合にも、建築プロジェクトを実施するにあたり、きちんとした事業化可能性調査(フィジビリティスタディ)を実施した上で、本格的な事業投資における意思決定を行う必要があります。法的・経済的両面における成立性が確認できない状態で、事業化を図るほど無謀なことはありません。
以下に、それぞれの場合における、フィジビリティスタディの内容について、簡単に説明します。
⑴ 事業が先、土地が後
① 法的なフィジビリティスタディ
建築プロジェクトの事業企画は事業化の発意からはじまり、開発用地の選定をその後に行った上、開発に係る法規制・開発許認可・用地取得・近隣同意などについて、可能性を調査します。
② 経済的なフィジビリティスタディ
開発に係るマーケット調査・事業採算性予測を行います。その結果、投資に値すると判断された場合に、用地を取得します。
⑵ 土地が先、事業は後
敷地は既に決まっているので、その敷地の立地特性や土地所有者のニーズなどに沿った、想定される事業の法的および経済的なフィジビリティスタディを実施します。
法的・経済的両面のフィジビリティスタディの内容において、(1)と(2)に大きな相違はありませんが、こちらについては、用地取得に費用が掛からないため、また、多くは、目的として節税・相続対策が掲げられている点が、異なります。